今回は、大東建託株式会社と大和ハウス工業株式会社の建設業対決です。 テレビコマーシャルを控える会社が多い中、両社共に、存在感は変わりません。実際の企業力はどうなっているのでしょうか。
企業力総合評価は圧倒的に大東建託が勝っています。恐慌にあってもほとんど評価は落としません。
大東建託の営業効率・資本効率は5期連続天井を打っています。
生産性は2009年改善しています。かなり長い線分で改善していますから、急伸した可能性があります。かなり興味がわいたでしょう。こんなに売上が上がり難い時代建設業で生産効率急伸するなんて。リストラ?M&A?いったいなぜ・・・・・安全性は僅かに悪化です。
大和ハウス工業の企業力総合評価は、悪化トレンドです。
営業効率・資本効率も3期連続の悪化トレンドです。営業効率の3期連続悪化は見逃せません。
生産効率は改善トレンドです。流動性は急伸させました。恐慌に備えて資金手当てをしたのでしょう。営業効率の悪化を流動性改善でバランスさています。安全性は連続下落しています。
両社の営業効率の各下位指標を見てみましょう。両社とも悪化トレンドですが、グラフ縦軸の値は大きく違います。
大東建託は、売上高総利益率が30%を超え、2009年、悪化したといえども19.5%で、もともと20%の大和ハウスに恐慌後やっと一致しました。
もともとの利益率の高さがクッションになって、営業効率は天井値・合格点を見事につけています。
それでは、なぜ、大東建託の生産効率が急伸したのでしょうか。下の表を見てください。
売上高が3,138億円、率にして48.96%も増加しています。
主なものは、不動産事業の「賃貸経営受託システム」による一括借上物件の増加が2,934億円です。借上会社である大東建物管理株式会社の家賃収入が増加したことなどから不動産事業売上高は4,647億円(前期比171.3%増)となりました。
売上高増加48.96%に対し、従業員数が3.00%しか増加していません。生産効率の急伸は、不動産事業の売上拡大が原因です。
不透明な昨今、30年一括借上など、オーナーの不安を払拭してくれるビジネスモデルが時代を捉えたのでしょう。
利益率の悪化の話に戻りましょう。
事業部別営業利益率推移のグラフを見てください。
利益率が安定している建設事業に対し、不動産事業は2008年から悪化トレンドです。その不動産事業が増加したため全体として営業効率が下落してしまったのです。
まとめ
不安時代にぴったりの商品を持つ大東建託は強気の経営を貫いています。しかし、30年一括借上によるオーナーのリスクは大東建託にそのまま移転します。時代の変化によっては、更に利益を圧迫するでしょう。
但し、これだけの会社ですから、次に向け、新しいビジネスモデルを構築しているかもしれません。
SPLENDID21NEWS第54号【2010年5月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。