今回は、健康コーポレーション株式会社を分析してみました。健康コーポレーションは、2003年4月に設立され、当初、自社Webサイトにてインターネット通信販売をする会社でした。しかし、今は、RIZAP株式会社の親会社と言った方がピンとくる方が多いでしょう。
「結果にコミットする。」という宣伝は、1人でなかなか成功しないダイエットに悩む人の心を捕らえました。
2009年から2015年3月期までの連結財務諸表、7年間を分析してみました。
企業力総合評価は、99.08P→133.22P→140.99P→146.49P→128.61P→112.30P→116.64Pと推移しています。2013年から企業総合評価が悪化し始めました。
営業効率(儲かるか指標)・資本効率(株主評価指標)は、2011年から5期連続悪化しています。
生産効率(人の利用度)も2011年から悪化し始め、2014年には赤信号領域、2015年は改善したものの赤信号領域を出ていません。生産効率は、業種・業態によって大きく変わります。健康コーポレーションは、M&Aで多事業展開し、生産効率の悪い事業が増加している可能性もあります。
資産効率(資産の利用度)は大きく悪化トレンドです。売上高の増加以上に総資産が増加していることが原因です。M&Aなどの拡大で、総資産と売上高のバランスが崩れてきました。
流動性(短期資金繰り指標)は、ほぼ青信号領域ですが、不安定で課題が残るようです。
安全性(長期資金繰り指標)は、2010年、急改善し、赤信号脱出かと思われましたが、その後は改善しません。資産効率とのバランスを取り、増資等資本政策でのカバーができていれば、安全性は青信号へ行きます。そうすれば安全性は勿論、資産効率、流動性、営業効率まで善循環が起こり、改善します。強気のコマーシャルどおり、売上高も7年で5倍強と攻めに強い会社ですが、その特徴が各親指標に表れており、優秀なCFOの採用が必要でしょう。
機関車的役割の営業効率を検証します。営業効率の悪化は、儲からないセグメントを調査することで原因捕捉が可能となります。営業効率を親会社・子会社に分解してみましょう。
2011年から2015年3月期までの5年間の親会社、子会社等の売上高の推移を調べてみました。
(売上規模が連結売上高の10%以上しか開示されないため、記載がないことは、売上高が無いことを意味しません。)
連結売上高が13,574百万円から39,102百万円と4年間で3倍になっており、強烈な増収の会社であると言えます。子会社化した会社は、ジャパンギャルズを除き、増収トレンドです。自社で設立した健康コーポレーションとRIZAPも1.5倍から2倍に売上を伸ばしています。
健康コーポレーションのグループは攻めに強く増収を達成する傾向にあります。
それではなぜ、営業効率の悪化トレンドが止まらないのでしょうか。売上高経常利益率をセグメント分割してみましょう。
長くグループ内にある会社は売上高経常利益率が高い傾向にあります。利益率を上げること自体は得意な会社と言えますが、M&Aで子会社化した会社が引き下げる傾向にあります。
営業効率は答えが出たようです。増収増益達成の可能性は高いものの、M&Aで子会社化する会社の売上ボリュームが大きく売上高経常利益率が低調なため、営業効率が悪化してしまうのです。
まとめ
健康コーポレーションは、増収・増益の会社に育てる力がある。
RIZAP等の増収、既存事業の高利益率を背景に、比較的利益率の低調な会社をM&Aし、自社の営業効率を悪化させる。しかし今後、利益率改善が見込める可能性がある。
営業効率以外の指標は、赤信号領域や、それに近い指標が多くバランスが取れていない。
SPLENDID21NEWS第116号【2015年7月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。