今回は株式会社ラ・パルレを見てみましょう。ラ・パルレは、エステティックサロン運営、化粧品・健康食品・美容機器の販売の会社ですが、2008年3月、悪質な勧誘を行っていたとして、東京都から行政処分を受け、監査法人から「継続企業の前提に重大な疑義あり」の意見を付されました。その後、2010年11月6日上場廃止しました。
企業力総合評価は126→127→56→55→47と推移しています。2008年急落し、60ポイント以下の破綻懸念領域になり、カウントダウンに入りました。
営業効率(儲かるか指標)、資本効率(資本の利用度指標)は2006年2007年の天井値から一気に底地に落ちてしまいました。支払い能力の乏しい若年層に対して何度もエステコースの契約、美顔器、化粧品などの関連商品の販売契約を結ばせ、支払の総合計額が100万円を超える返済困難な高額契約を結ばせたり、また、エステに通い始めて2回目などの少ない回数のうちに更に別のエステのコースなどの契約をさせるなど、2008年3月都から行政処分を受けています。当然と言えますね。
生産効率(人の利用度)は赤信号領域にあります。1人当たり売上は2007年の16,632千円から2010年は9,522千円に下落しています。
流動性(短期資金繰り指標)は赤信号領域を悪化しています。
安全性(長期資金繰り指標)は青信号領域から反転しながら悪化しています。
「流石上場企業!!!」と感心してしまうところがあります。このような厳しい状況であっても、安全性は青信号領域にあります。中小企業なら全く見られない分析結果と言えます。2009年2010年第3者割当増資をし、借入金返済資金と運転資金を調達し安全性を下げ止まらせています。
上の営業効率下位指標を見て下さい。2006年103億円の売上が2007年171億円に急増しています。売上を上げる為、無理な営業をしていたのでしょう。2008年から減収になり、2009年2010年は売上が80%ダウンしています。
ラ・パレルは2008年から営業損失が出ています。「営業損失が出る」という状況は「すぐに脱却して下さい」ということです。昨今の経済状況から、営業損失を出す会社が多くありますが、放置してはいけません。2期連続、3期連続なんて絶対にいけません。なぜならラ・パルレのようになってしまうからです。当たり前といえば、当たり前ですが、意外と放置されています。上場企業であれば、継続企業の前提に重大な疑義がある、と判断される可能性が高くなるほどのことです。
貴方の会社は大丈夫ですか?
最近のSPLENDID21NEWSで取り上げましたが、リーマン・ショック以降、流動性を上げる会社が増加しています。現金預金比率を上げて、資金繰りが逼迫しないようにしています。これが落とし穴になっている会社が多いです。つまり、お金がある為、危機感を持てないでいる会社が多くあります。貴方の会社は大丈夫ですか?
流動性指標を見てみましょう。業種柄、棚卸資産や、売掛債権が少なく、流動比率は低い傾向になります。しかし、営業効率の悪化で、資金繰りがどんどん悪くなっていることがわかります。現金預金比率の悪化が原因です。2009年2010年第3者割当増資をしても、赤字となって流出、ザルで水をすくうようです。
まとめ
売上を上げることは簡単ではありません。増収を求める上場企業はM&Aで企業を買収して連結し増収にしたりもします。しかし、多くの中小企業は、自社の既存の製品・商品・サービスを売ろうとします。製品を改良したり、サービス内容を良くしたりすることを疎かにして、無理に売ってもお客様は困ってしまいます。それは、更に悪い形で後になって会社に戻ってきます。
SPLENDID21NEWS第68号【2011年7月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。