「住まいの参観日」というファミリー層に響く取り組みで有名な積水ハウス株式会社を取り上げます。
ほのぼのとしたイメージとは真逆の超辣腕社長が切り盛りしました。
積水ハウス 企業分析 総覧
2007~2019年3月期までの連結財務諸表13年を診断してみました。
特筆すべきは企業力総合評価のリーマンショックからの反発力です。2010年162.36ポイント(以下P)から113.86Pまで49P悪化させましたが、その翌年156.82Pまで回復、率にして88%の一気回復です。日産自動車のカルロス・ゴーン氏でさえ、133.57P→96.65P→122.11PでV字回復率は70%であることを勘案すれば、阿部社長(現会長)は超辣腕であることは間違いありません。
また、生産効率は。じわじわと右肩上がりトレンドで大企業らしい特質が表れています。生産性をあげることが至上命題の今日、着実な成果です。便利なサービスやソフトウエアが発売され効率化は確実に進み、生産性は理論的には時系列で上がるはずです。中小企業でこの傾向になりにくい反面、人材に恵まれ、適切な投資を行える大企業は、安定して改善トレンドを示す会社が多くあります。
地面師詐欺事件での辣腕発揮 積水ハウス
積水ハウスと言えば、地面師詐欺事件が記憶に新しいところです。2018年この詐欺事件で巨額の損失を被った責任として、阿部社長を取締役会で解任しようと動議を出した和田勇会長に対し、反攻して逆に解任動議により和田社長を辞任に追い込み、阿部社長が後任の会長に就任してしまいました。
超辣腕な方というのは何をやっても超辣腕ということでしょうか。
いろんなタイプの社長 ダイフク事例
阿部氏みたいにできないよ・・・・そんな声は聞こえてきそうです。分析していると、社長の性格は様々です。超辣腕だけが評価されるわけではありません。
株式会社ダイフクの経営は、コツコツ、たゆまぬ努力で、リーマンショックを克服しています。確かに直ぐには回復しないので辣腕社長と言えないかもしれませんが、地道な努力を惜しまない経営者の下、社員は、毎年業績が伸びる経験をして自信を深めていく可能性も大きいといえます。
売上高・売上高総利益率・販管費率推移 積水ハウス
次に積水ハウスの営業効率の各下位指標を確認します。どう辣腕を振るったかが見て取れます。
和田社長時代に販管費率・売上高に変動しませんでした。阿部社長に変わった直後リーマンショックに見舞われ、売上高総利益率が急落しても販管費率を維持したかと思えば増収に転じ、その後増収と販管費率の低下(改善)を達成しています。このことは阿部社長になってから生産効率の改善が顕著になったところからも確認できます。
まとめ
社長には、それぞれ個性があります。リーマンショックのような状況からは積水ハウスの阿部社長、
悪化トレンドが続き、自信を喪失した会社にはダイフクの社長のような方など最も適切な方に社長をしていただいてはいかがでしょうか。経営者評価が必要となります。
編集後記 定量情報の中に、定性情報が溶け込んでいます。定量情報から定性情報を取り出し、現実の定性情報と突合すると、確信します。定量情報→定性情報、定性情報→定量情報 行ったり来たり・・(^^♪ 文責JY 〒541-0052 大阪市中央区安土町1-6-19 プロパレス安土町ビル7階D号 株式会社 SPLENDID21 tel 06-6264-4626 info@sp-21.co.jp https://sp-21.com |
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