今回は、株式会社不二家を見てみましょう。2006年3月期までは第15号NEWSで取り上げた後、業績が低迷していたところに2006年10月と11月の計8回にわたって、埼玉県新座市の同社埼玉工場でシュークリームを製造する際に、賞味期限が切れた牛乳を使用する不祥事を起こしました。
その後、不二家はどうV字回復を目指したのでしょうか。
2002年3月期から2006年3月期までの5年間をおさらいしてみましょう。
総合評価は80から100ポイントの帯に嵌っています。このゾーンは社内が鬱積する傾向にあります。その中で不祥事が起こりました。資産効率、安全性以外は赤信号領域にドップリ浸かっています。詳しくは第15号をご覧下さい。
2006年から2010年までを分析してみました。改善のトレンドが見て取れます。
企業力総合評価は、不祥事により2007年は44ポイントまで下落してしまいました。60点以下が破たん懸念領域ですから、とても苦しい状況でした。
2008年44ポイントから71ポイントに改善しました。増資をして安全性に引き上げられ改善しました。
しかし、営業効率は2007年~2009年の3年間底を打っており、再度の企業力の改善は2010年の営業効率の改善を待ちます。この不祥事で累積226億円の経常損失を出しました。
生産効率は、5514人から4767人に747人(13.5%)のリストラをして上がってきました。
流動性、安全性は2008年、増資をして改善させました。
企業の不祥事が存亡の危機を招いた事例です。雪印乳業の食中毒、牛肉偽装事件を起こした時の営業効率の下落と同じ状況です。
幸い、雪印乳業も不二家もV字回復を遂げました。
まとめ
業績を低迷したままにしておくと思わぬところから、ほころび始めます。不二家の賞味期限切れの牛乳しかり、雪印の食中毒、牛肉偽装事件しかりです。そうなるはるか以前に、企業が健全かどうか、何に問題があるかに目を光らせておく必要があるのではないでしょうか。
SPLENDID21NEWS第60号【2010年11月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。