今回は、モロゾフの分析を見てみましょう。モロゾフは、ユーハイム、ゴンチャロフとならぶ神戸における著名なロシア系洋菓子店で、バレンタインデーにチョコレートを送る習慣を始めた会社としても有名です。会社名が示すとおり、モロゾフの母体はロシア革命後の社会主義化を嫌って亡命してきたモロゾフ家が別の経営者と共同で1926年に設立しました。 それでは、SPLENDID21による分析結果を見てみましょう。
黄信号領域にあった企業力総合評価を上げてきています。青信号領域に来ました。
営業効率(儲かるかの指標)、資本効率(資本の利用度)も赤信号領域を出て、青信号領域へウナギ登りです。生産効率は赤信号領域ですね。
流動性(短期資金状況)も青信号領域に上がってきました。
安全性(長期資金状況)の指標は5期とも青信号領域です。最近の数年が悪かったのでしょう。自己資本比率の高い会社です。
営業効率の各指標を見てみましょう。営業利益率を改善して良くなってきています。安全性の高い会社は借金が少ないため、営業利益率を上げればそのまま経常利益率も上がります。
業積の良い時に正しい納税姿勢を貫いてきたご褒美です。
経常利益率3.49%になりました。まだまだ満足されていないでしょう。
商品群別売上の推移を見てみましょう。
菓子部門(干菓子群、洋生菓子群、その他菓子群)は順調に売上高を伸ばしています。
喫茶・レストラン部門はなかなか伸びませんね。
SPLENDID21では飲食業は上場企業80社ほど分析していますが、総じて苦戦、また、その中でもカフェは善戦していますが、喫茶は苦戦しています。モロゾフの喫茶、レストラン部門は飲食業のトレンドと整合しています。
製造原価比率を調べてみました。
材料費率経費率は上昇していますが、労務費率は随分下がっています。
合理化による労務費率の下落でしょうか。
平均給与と従業員数の推移を調べてみました。従業員数は増加していますが平均給与は下落しています。
設備投資など合理化もあるでしょうが、賃金を
下げてきていることも確かなようです。
従業員の平均年齢と勤続年数を調べてみました。平均年令は高い方ですね。業歴の長い会社で人件費高に苦しんでいたのでしょうか。
2008年1月ではぐっと若返りました。
まとめ
業積を上げたいと思うとき、自社の状況を客観的に見る必要があります。
たとえば同業他社を分析、自社と比較すると、強み・弱みとなって分ります。また、業績を上げる手法、その程度、悪化のアラームなどを知ることが出来ます。
受験の時、科目別の偏差値や、行きたい学校の偏差値を出してもらうことによって自分がなにをしなければならないかを理解したと思います。企業経営の為にもっと分析を大切にすべきではないでしょか。
SPLENDID21NEWS第42号【2009年5月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。