長嶋茂雄さんの「セコムしてますか?」の宣伝が懐かしいセコム株式会社。セキュリティサービス事業のみならず、防災事業、メディカルサービス事業、保険事業、地理情報サービス事業、不動産事業と、安全・安心をキーワードに事業領域を広め、セキュリティサービス事業の売上高は全体の58%となりました。
経営状況を俯瞰する セコム
2009~2018年3月期までの連結財務諸表10年を診断してみました。
企業力総合評価は2016年11ポイント悪化しましたが、通期165ポイントあたりを維持し、優良企業といえます。
2016年の悪化は資産効率と流動性の悪化に起因しています。銀行等の金融機関が設置している自動現金受払機の現金補填業務、現金回収管理業務および現金集配金業務遂行上生じる現金護送業務用預り金が増加したことにより、資産増加で資産効率悪化、現金護送業務用預り金は流動負債なので流動性も悪化しました。沢山の事業を展開していても、一つの事業が財務諸表に大きな影響を与えます。
生産性悪化の原因
2018年の生産効率悪化は、従業員が11,577名増加し、その多くが株式会社TMJを子会社化したことに起因します。TMJは、コンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPO(Business Process Outsourcing)サービスを提供しており、人が多いのでしょう。
手っ取り早く生産効率を上げるために、BPOを採用する会社が多い中、数字に厳しいセコムが、まるで他社の生産性の悪化を引き受けたような状況を放置する筈もなく、今後の取り組みを注視したいものです。
営業効率は長期改善トレンド
営業効率の各下位指標のグラフを見てみましょう。2012年の凹みは、販売用不動産評価損(仕掛販売用不動産評価損含む)207億円計上されたためです。15%程度の高い売上高営業利益率とそれを上回る売上高経常利益率を出しており、攻守ともにぬかりない会社といえます。
まとめ
セコムは、売上高331億円、経常利益15億円、純資産74億円、総資産123億円で売上高経常利益率4.5%、純資産比率60.1%(2017年3月期)のTMJ株式の100%を265億円で買収しました。セコムの売上高は2018年3月期9706億円ですから3.4%の売上高に相当します。危なげない内容・ボリューム感といえます。
編集後記 SPLENDID21は若い読者が多いようですが、高齢化対策でグラフを大きくしたら、文章が減ってしまいました。(^^♪文責JY 〒541-0052 大阪市中央区安土町1-6-19 プロパレス安土町ビル7階D号 株式会社 SPLENDID21 tel 06-6264-4626 info@sp-21.co.jp |
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