今回は、コニカミノルタホールディングスの分析を見てみましょう。コニカミノルタホールディングスは、自社、子会社131社、関連会社7社で構成されています。事業はデジタル複合機、プリンタ関係の情報機器事業、光学デバイス、電子材料関係のオプト事業などを行っています。2003年10月にコニカ、ミノルタが合併しました。
それでは、SPLENDID21による分析結果を見てみましょう。
コニカミノルタホールディングスは、着実に成長しています。2004年から2008年まで、総合評価はきれいな右肩上がりになっています。
営業効率は「儲かるか」の指標ですがこれも着実に成長しています。2006年3月に営業効率が急伸しています。下の営業効率データを見てください。2006年は当期利益が543億円の赤字になっています。2006年フォトイメージング事業の終了決定に伴う損失や、同事業に関わる固定資産の減損損失等の特別損失を計上したためです。
それでも営業効率が急伸しているのは、営業効率の戦略的指標が売上高経常利益率であるためです。
言いかえれば、売上高経常利益率が、儲かっているか、儲かっていないかの指標として重要で、売上高当期利益率がマイナスでも、営業効率の評価に影響が少ないと言うことです。
このことが一般に理解されていないため、不採算事業のリストラを「売上が減少する」「赤字になる」「お金が出ていく」などの発想で踏み切れない会社があります。
恐慌と言われるこの時代、生き抜くために不採算部門のリストラは避けては通れません。
生産効率も着実に伸びています。これは、雇用調整をしているためです。
従業員のリストラは失敗すれば士気が下がり、営業効率の下落を引き起こします。
コニカミノルタホールディングスに見る限り、そのようなことは起っていません。
右下は、合併前のミノルタの総合評価と営業効率のグラフです。
コニカとミノルタの合併比率は1:0.621で、ミノルタの株主は1:1の比率と比べて総額1700億円の損失を受けました。
しかし、ミノルタ、コニカは合併して、先に述べた成長を遂げたわけです。
合併は多くのリスクを伴います。しかし、この例に見る限り、合併の価値は高いと言えるでしょう。
まとめ
2006年度には中期経営計画「FORWORD 08」を策定し、成長が見込まれる特定の製品・ジャンルへの経営資源を集中し「ジャンルトップ戦略」を進めました。
その結果、欧米市場においてデジタル複合機のトップポジションと、ブルーレイディスク方式などのピックアップレンズの圧倒的なシェアを確保するなど、確かな成果を挙げました。自社を見つめ、成長分野に経営資源を投入する戦略思考の重要性を痛感します。
SPLENDID21NEWS第40号【2009年3月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。