焼き肉・焼き鳥チェーンを展開する株式会社あみやき亭を分析しました。日本で最も強い飲食企業の1つです。なぜそんなに強いのか、飲食業の方でなくても大いに関心をもたれる筈です。
2004年から2011年までの8年間の推移は、成長のち高位安定と見事な軌跡を描いています。
企業力総合評価は127→155→170→168→168→168→156→161と推移しています。
営業効率(儲かるか)は8期連続天井値です。2004~05年の営業効率の上昇に釣られて流動性(短期資金繰り)も上昇し天井値です。2010~11年は天井値から下げました。それにしても立派な流動性です。安全性(長期資金繰り)も8期連続ほぼ天井値を付けています。
このような見事な会社に共通する経営姿勢があります。
「無駄なことが嫌いで数字を良く見て効率よく経営」する会社です。これは飲食業に限った事ではなく、どの業種でも同じことが言えます。但し、ビジネスモデルで稼ぐカカクコムなどは例外です。
上記3社もいずれも皆さんのおなじみの飲食チェーン企業の様子です。
それでは、あみやき亭を詳しく分析してみましょう。
2001年9月のBSE風評被害に続き、2003年12月の米国BSE感染報道、2004年日本初の鳥インフルエンザ報道と、成長期のあみやき亭には全く逆風の環境でしたが、見事売上を増やし続けています。
飲食業の売上が上がると言うことは出店すると言うことです。
出店は、ドミナント(特定地域内に集中した店舗展開)を行いながら地域を徐々に拡大していく方式で、2007年までは、中部地区(愛知県、三重県、岐阜県、静岡県)に限り出店し、翌年から関東地区(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、近畿地区(滋賀県)へと出店していきました。既存店の看板や顧客は、新規店の広告宣伝の代用になりますし、店舗管理や食材の配送に無駄がなく効率的に拡大できるのがドミナントの良さです。
出店を急ぐあまり人材育成が追い付かず接客やオペレーションの質の低下が起こるのであれば、出店を止めてしまうのがあみやき亭の特徴です。また、1年を通して宴会客獲得の為に企業ローラー訪問を展開するなど地道な努力を積み重ねます。
又、店舗ではクレジットカードでの飲食は出来ません。カード会社への手数料が無駄だからでしょう。
美味しさの追求では、食肉のカット技術の向上、焼き方を教える「焼き肉マイスター」の導入などを行っています。
まとめ
少子高齢化・デフレの日本では、経済の縮小は大きな流れです。ですから、必死で売上を上げる必要があります。その一方で、きちんと管理し効率化する経営をしなければ、利益率は上がりません。売上が上がっても利益率が下がってしまえば、企業は倒産に向かうのです。
SPLENDID21NEWS第79号【2012年6月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。